<4>ケーススタディーの作り方・3ポイント





【はじめに】受講者の思考をさらに促す方法とは?

 ここまでを振り返ってみましょう。

 

・<2>研修目標・・・受講者は研修のポイントを言葉で理解した。

・<3>事例・・・受講者は実際の業務でのイメージを理解した。

 

 上記2点は、社内講師が準備した情報をフックに、受講者にあることを理解してもらう関係です。ここではもう一歩踏み込み、受講者に自分のこととして考えさせるよう促していきます。具体的には、

 

・”あなた(=受講者)だったら、どうするか?”

・”あなた(=受講者)は、どんなミスをしそうか?”

 

などを考えてもらうためのケーススタディーの作り方」についてご案内します。

ケーススタディーの作り方1


(11)ケーススタディを作る有効なフレームとは?

 前前出の<2>の事例の作り方でご案内した<状況・行動・結果>フレームを使います。

 

 すでにある事例をもとに作成しても結構です。再度、<状況・行動・結果>フレームを具体例とともに再掲いたします。


指示受けに関する失敗事例

▼状況

 7月24日に上司A課長から、お客様への見積書の送付依頼があり、納期=7月31日までに送付すると約束した。

 

▼行動

 7月31日までは特に忙しくなく、大丈夫だと思い、そのことのメモをしなかった。7月25日に緊急の仕事が入り、7月30日に仕上げた。しかし、上司A課長から見積書の送付依頼を忘れてしまい、急いで8月1日に送付した。

 

▼結果

 その結果、お客様から「他社にお願いすることにしました。」と言われた。その後、上司A課長から叱られたのは言うまでもない。


(12)ケーススタディーでは何を考えさせるのか?

盛り上がるディスカッション事例

 <状況・行動・結果>フレームさえ知っていれば、簡単に作れてしまいます。2つのパターンを以下に提示します。

 

<パターン1>=結果を問う

 ▼状況・・・このような状況がありました。

 ▼行動・・・そして、このような行動をとりました。

 ▼結果・・・その結果、どのようになったと思いますか?

 

<パターン2>=行動を問う

 ▼状況・・・このような状況がありました。

 ▼結果・・・そして、こんな結果になりました。

 ▼行動・・・どんな行動をした可能性がありますか?

 

 いままで上記のケーススタディーを作成した方々からのご意見をお聞すると、やはりグループディスカッションで盛り上がるのは、<パターン2>の方です。なぜならば、<パターン2>の方が行動に関するさまざまな意見が出やすいからです。

 

指示受けの失敗事例をもとにしたケーススタディー作成例

 先ほどの事例をもとにケーススタディーを作ると以下のようになります。

 

▼状況

 7月24日に上司A課長から、お客様への見積書の送付依頼があり、納期=7月31日までに送付すると約束した。

 

▼結果

 その後、8月1日時点で、7月31日のお約束を忘れてしまったことに気づいた。その結果、お客様から「他社にお願いすることにしました。」と言われた。その後、上司A課長から叱られたのは言うまでもない。

 

▼行動

 この人は、上司A課長との事前のやりとりの中で、何ができていなかった可能性がありますか?

 

 このように行動に関する情報を<問い>にして、その行動を問うだけでシンプルなケーススタディーができてしまうのです。



(13)ケーススタディ検討中に気を付けたいこと

 ただし、ここで重要な点が質問表現です。例えば以下のようになってしまうとケーススタディーがまったく検討しがいがなくなります。

 

 この人は、上司A課長とのやりとりの中で、何ができていなかったですか?

 

 このような質問表現にすると、受講者は、”何をしたか事実を当てろ!”と感じてしまいます。そして、事実を当てるのかと感じた受講者は、当てたいがために、もっと状況に関する情報を示してくださいと言ってくることがあります。これは好ましい方向ではありません。

 

 なので、ここではたくさん意見が出るように”可能性”という言葉を使って以下のような質問表現にしています。

 

▼行動=この人は、上司A課長との事前のやりとりの中で、何ができていなかった可能性がありますか?


 このような質問表現にすると、可能性がいろいろ出てきます。例えば以下のような意見です。グループディスカッションしているイメージでお読みください。

 

 ・この人はメモをしていなかったんじゃないの?

 ・7/31までの送付とは言っているけど、7/31着じゃないの?

 ・メモもあとでわかるように書かないと、いけないよねー。

 ・メモよりもスケジュール手帳にメモした方が確実だよ。

 ・メールのリマインド機能使うと、結構いいよ。

 

 いろんな意見が入り混じっていますが、受講者が実際現場に出た際に役立つような意見ばかりです。このような実際の現場でありえそうな意見がたくさん出てきて、グループディスカッションで受講者どうしが刺激し合えること自体が非常によいことなのです。


【さいごに】研修はこの流れで進めると、なるほど!となる

 再度、ここまでのことをまとめます。

 

・<2>研修ポイント・・・受講者は言葉を理解した。

・<3>事例・・・受講者は実際のイメージを理解した。

・<4>ケーススタディー・・・受講者は自ら考えて理解した。

 

 要点を抜き出すと、言葉→イメージ→自ら考える、の3点です。ここまでやると、理解が深くなった!現場で思い出してもらえそうだ!と思えてきます。

 

 しかし、よくありがちな社内研修は、研修目標(=研修ポイント)を決め込まないまま、過剰な情報を受講者へ伝えてしまいます。

 

 このような社内研修を受けると、受講者はわかったような、わからない感覚になります。結局、現場では何もしない、何もできないということになってしまいます。

次のページでは、

ここまでの全体を俯瞰した上での

研修企画書について解説します。

<5>研修企画書の書き方・3ポイント>>



受講者に役立つ研修準備・16のポイント



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