<2>研修目標(=研修ポイント)の決め方・4ポイント





 研修準備の最初で重要なことは、「研修目的」と「研修目標」です。実はこの「研修目的」と「研修目標」は各企業、各社内講師によって、とらえ方および表現がばらばらです。

 

 そして、受講者の研修後の動きをあまりイメージしていないために、その不自然さにも気づかないということがよくあります。 

 

 結論として、「研修目的」と「研修目標」は、組織上の関係者が、

・「何を指しているのか?」

・「どのように表現するのか?」

を改めて話し合って、定義した方がいいと考えています。しかし、それだけではわかりづらいと思いますので、以下に解説いたします。


(4)研修目的の焦点

 「研修目的」というと、主に以下の4点に焦点があたります。

 

(1)問題(をなくすために)/問題(がおきないように)

(2)(問題をなくす)知識を理解するために

(3)(研修後の)好ましい行動をするために

(4)(研修後、かつ行動後の)期待される状態に達するために

 どこに焦点を当てて、「研修目的」を表現するかは、発生した問題のインパクトや、その企業の研修慣習、地位の高い人の声、などによって変わってしまうことがあります。

 

やはり、「情報→行動→成果」という投資対効果の観点から、研修後の(3)好ましい行動や(4)期待される状態に焦点を当て、表現することが好ましいでしょう。


(5)受講者の現状把握

受講者把握

 前出の研修目的が、(3)(研修後の)好ましい行動、(4)(研修後、かつ行動後の)期待される状態だと定義・表現されると、「じゃあ、受講者達は、今何をしてるの?現状どうなっているの?」という自然な発想になります。

 

 しかし、「受講者把握」と呼ばれている活動は、次の理由であまり行われていません。

 

 (1)受講者把握をする必要を感じていない

 (2)受講者把握している時間がない

 (3)受講者把握の際の、具体的な聴き方がわからない

 

 その結果、研修を受ける受講者側から見た社内講師の印象は、「自分たちのことをよくわかっていないにもかかわらず、難しいことを言っている人だなー」となってしまいます。

 

 よって、あなたにお勧めしたいことは、あなたの社内研修の内容に沿ったインタビューを、最低1人でもいいので、社員の方にさせてもらうことです。それでは情報が偏りそうだなと思ったら、2人、3人と増やしていってください。

 

 ここで言いたいことは、受講者の情報を何も持っていないと、受講者のための研修目標が定義、表現しにくいということです。


(6)研修目的に近づくためにアドバイスできそうなこと

 ここまで解説すると、「研修目的」と「受講者の現状」の間にあるギャップに気づいていただけると思います。

 

 このギャップを埋めていく活動の1つが、あなたが実施する社内研修なのです。

 

 繰り返しますが、「受講者の現状」を考慮し、「研修目的」を見すえて、どこまでの状態にするかということが「研修目標」となります。図で示すと上図のようになります。

 

例えば、新人研修における「指示の受け方」について研修テーマが与えられたとしましょう。そして、受講者の現状に関する情報が1つ現場から上がってきました。

 

■研修目的・・・上司や先輩から指示を受ける際に、指示内容を適切に把握すること

 ↑

■受講者の現状・・・(昨年の新人は)納期が守れないことがよくあった

 

 以上の2点が表現できたとして、研修目的に近づいていくために、どんなアドバイスがあるでしょうか?例をできるだけ記述してみましょう。

 

■研修目的に近づくためにアドバイスできそうなこと

・例1)指示を受ける際は、言われずとも納期を自ら確認すること

・例2)納期を確認する際は、朝一、午後一等のあいまない表現を使わないこと

・例3)納期を確認することに合せて、その後の相手の行動予定も聞いておくこと

・例4)上司の指示を受ける際は、メモをしながら聞くこと

・例5)指示を受けた後は、自分の手帳の「TO DOリスト」に書くこと

・例6)指示を受けた後は、納期までの進め方をメールしておくこと

・例7)納期ぎりぎりではなく、1日前の納期を設定すること

・例8)・・・

 

 現場にいる、指示を出している上司や先輩側の人たちに聞けば、もっとこのような行動項目が出てくるかもしれません。また、3年間以上の業務をしていれば、失敗をした経験もあると思いますので、記述しようと思えばいくつも書けるのです。


(7)研修目標の設定

■研修目標の選択

 上記の中で、「実際あまり実行されておらず、より納期を守ることにインパクトある項目」を選択してください。

 

 また、たくさんの行動項目を受講者に伝えても、覚えられなければ実行できないので、3-4つぐらいが適当な数です。その選択された3-4つを研修中に理解させることが研修目標となります。

 

■研修目標の設定

 新入社員の関係者にインタビューした結果、受講者の現状を考慮し、「指示の受け方」については以下のようになりました。

 

 研修の終了時に、上司から指示を受ける際の「指示の受け方」の3ポイントを理解すること(=3ポイントを質問された際に、回答できること)

 

上司の指示を受ける際は、

 ポイント1)メモをしながら聞くこと

 ポイント2)上司に言われずとも納期を自ら確認すること

 ポイント3)納期ぎりぎりではなく、1日前の納期を設定すること

 

 このようにして、研修ポイントを決め込んでいきます。


 このようにポイントを絞って、期待される行動そのものを研修中に理解させることこそが、研修目標なのです。

 

 「たったそれだけ?」と思われるかもしれません。しかし、これで終わりではありません。ここから、受講者の理解がさらに促進されるように研修内容を膨らませていくのです。


最後に

 社員研修における「研修目的」、「研修目標」について、ほとんどの人材育成担当者、社内講師があいまいだったり、または過剰に書いたりしています。

 

 はじめての社内講師の方には難しく感じてしまうかもしれませんが、これらの「研修目的」、「研修目標」があいまいに設定されると、あいまいな分、研修内容が増えてしまいます。そして、研修内容が増えてしまうと、受講者にとって研修内容が理解しにくくなってしまうのです。

 

 よって、研修目的、受講者の現状、研修目標の設定が非常に重要なのです。そして、それらがしっかり設定できると、あなたが伝える内容が受講者にスムーズに入っていくのです。

 また、研修終了時において、受講者が研修目標にどれだけ到達できたか。それがあなたの社内講師としての価値となります。


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